【こねずみ物語 第五話 幸せのありか】
「さがしものの街」
こねずみは、探し物の街へたどり着きました。
街に入ると、そこにいた、アルパカさんも、つるさんも、しまうまさんも「みつからないよ~」と言いながら、何かを探しています。
こねずみは、しまうまさんに聞きました。何を探しているのですか?
しまうまさんは応えました。幸せをさがしているんだ。
こねずみは言いました。みんな幸せが見つからないんだね。
「たからの地図」
広場に行くと、みんなが何かで騒いでいます。
こねずみは、みんなに聞きました。何を話しているのですか?
ウサギさんが応えました。宝の地図が見つかったんだ。この地図の目印の場所に、幸せの宝があるらしい。すごいでしょ。
こねずみはウサギに聞きました。宝って何ですか?
ウサギは応えました。わからないけど、すごいものだと思う。
こねずみは言いました。みんな、幸せになるために必要なもの(宝物)が、何かわからないけど探しているんだね。
「こねずみの疑問」
こねずみは考えました。幸せになるために必要なものは何だろう?みんな幸せが見つからなくて何かを探しているみたいだけど、欲しいものが全部手に入ったら幸せになるのかな?
そこへ、ソフィねずさんがやってきました。
「幸せのカギ」
ソフィねずさんは、こねずみに言いました。欲しいものが何でも手に入る魔法のカギをあげよう。目の前にたくさんの部屋があるだろう。1部屋1部屋に叶えたいことや欲しいものがはいっている。このカギなら、どの部屋にも入れるので好きなものを欲しいだけ、手に入れてごらん。
こねずみは言いました。わ~い。どの部屋から入ろう。洋服の部屋。ごちそうの部屋。宝石の部屋。ソフィねず、いっぱい手に入ったよ。ありがとう。
でも、なんだか満たされないのは何故だろう?
こねずみは、ソフィねずさんに言いました。入れない部屋がひとつだけあります。このカギでは、ドアがあきません。
ソフィねずさんがこねずみに言いました。ああ、それは幸せの部屋。その部屋のカギはないよ。
「合いかぎ屋」
こねずみは思いました。あの幸せの部屋に入りたいな。誰かカギを作ってくれないかな。歩いていると合いかぎ屋がありました。
お店には、店員のしばねずさんがいました。いらっしゃ~い。
こねずみは、しばねずさんに言いました。幸せの部屋のかぎを作りたいんだ。
しばねずは応えました。あの部屋のかぎをつくる必要はないよ。中には何もないんだから。こねずみさん、幸せは物ではないので、部屋には何もないんだ。幸せを手に入れるカギは、あなたの心の中にあるんだよ。
こねずみは応えました。どうゆうことですか?もう少し詳しく教えてください。
「幸せのありか」
しばねずは、こねずみに言いました。食べたいものは?飲みたいものは?やりたいことは?
こねずみは応えました。カレーライス。カフェオレ。折り紙とハロウィンの仮装。
しばねずは、こねずみに言いました。気が付いたかな?欲しいと求めているものは、自分が経験したり、学んだものなど、既にあなたが知っている事しかないんだ。もし、知らなければ欲しいとは思わない。だから、幸せを欲しいと求めている人は、求めている幸せが何かを心の中では実は知っているんだよ。だから、幸せを探している人は、外ではなく、あなたの中に見つけようとすればきっと見つかるよ。
「幸せを知り旅立つ」
こねずみは、ソフィねずさんに言いました。ありがとう。自分の心としっかり対話をして、きっと、本当の幸せを思い出すからね。
こうして、幸せのありかを見つけたこねずみは、あらたな世界へと旅立ちました。