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【こねずみ物語 第三話 愛の詩(うた)】
「愛の国の女神 みかどんとの出愛い」
こねずみは、愛の国へたどり着きました。すると、どこからか声が聞こえてきます。その正体はみかどん。
みかどんは言いました。ぎゃはははは。ぼーとしてる暇はないよ。はやく、こっちへおいで。
こねずみは、みかどんの素敵な笑顔に引き寄せられ、誘われるままに、みかどんのあとをついていきました。
そして、こねずみは、みかどんとの楽しい日々を過ごしました。
「赤い実、はじけた」
みかどんは、こねずみに言いました。これからも楽しく過ごすために、あなたと住む家を建てようと思うの。
こねずみは、みかどんに言いました。僕と住む家?
みかどんは応えました。そうよ。こんな楽しい毎日。あなたといられるだけで私、幸せなの。だから、家を建てて、一緒住んでに楽しく過ごしたいの。
こねずみは言いました。僕もみかどんといると、楽しくて毎日があっという間に過ぎてしまう。だけど・・。こねずみは気が付いてしまうのです。
「愛の洪水」
こねずみは、みかどんとの思い出を頭に浮かべ、みかどんに話しました。一緒に食べた超大盛のスカイブルーのかき氷、美味しかったね。
みかどんは、こねずみに言いました。うさぎのゆたむや、りすのロミロミ、そしてライオンのとみ吉と行った音楽会、素敵だったね。あと、覚えてる?森一番のシェフ、オウムのミミのお店を探して訪ねていったこと。毎日の一瞬一瞬が楽しすぎたね。
ふたりは、心からあふれ出すように、思い出が頭に思い浮かんできました。
「愛の葛藤」
こねずみは思いました。みかどんと過ごす日々は、こんなにも楽しくて、笑いの絶えない毎日だったんだ。ここにいれば、何一つ心配することもなく、楽しい日々を過ごせるのに。
でも、何かが物足りない。僕の本当にやりたいことは、いったい何だろう?と疑問がわいてきました。そして、ある決断をしました。
「愛の選択」
こねずみは翌朝、みかどんに言いました。実は明日、出発します。
みかどんは応えました。出発って?隣の森のひつじのまゆに、来週オープンするお店「らふはひ」の手伝いを頼まれたの?しまうまのよっぴーの妹のおみねも手伝いに行くって言ってから。
こねずみは言いました。違うんだ。行く先は、まだ決めていないよ。
みかどんは言いました。そうなんだ。とうとう旅立ちを決めたのね。
「愛の連鎖」
こねずみは、みかどんへ手紙を書きました。
みかどん。出逢ってくれてありがとう。笑い合う素晴らしさを知ったよ。人から必要とされること、認められることの喜びを知ったよ。初めて自信を持つこともできた。みかどんに出逢ったから、今日こうやって新しい一歩を踏み出せる。僕も、まだ見ぬ誰かへ、みかどんからもらった恩を返していきたいと思っています。ありがとう。
「愛を知り旅立つ」
こねずみは、みかどんに言いました。笑顔の僕。人の喜ぶ姿を見るのが好きな僕。必要とされることの喜び。愛されることの幸せを知ったこと。僕の持つものすべてを、必要としてくれる人のために使おうと思います。
みかどんは、こねずみに言いました。そんな、こねずみさんだから、こんなにも一緒にいて幸せだったんだね。行ってらっしゃい。いつでもあなたのことを応援してますよ。
こうして、こねずみは愛の国で、愛を知り、そして、新たな出会いを探す旅をつづけました。