【こねずみ物語 第六話 言葉の力】
「後ろ向き2丁目町内会」
こねずみは、旅の途中でねこバスに乗りました。寝過ごしてしまったこねずみは、終点についたのでバスから降りました。
こねずみは思いました。ここはどこだろう?静かな町だなあ。バス停には、後ろ向き2丁目と書いてあります。あれ?遠くで馬とシカが口げんかをしているみたい。様子を見に行こう。
馬はシカに言いました。お前が悪い。シカは馬に言いました。いいや。お前が悪い。
こねずみは二人に言いました。まあまあ、おふたりとも仲良くしましょう。あそこに酒場があるので、一緒に仲良く飲みませんか?さあ、行きましょう。
「ぐちぐち酒場」
パンダの店員がお店に入ってきた三人に言いました。いらっしゃいませ。ここは、ぐちぐち酒場。飲んで愚痴って、大いにストレスを発散しましょう。
こねずみは思いました。なんだこのお店は?
馬やシカは言いました。この店にいると、なんだか悪口が言いたくなるね。ばかやろう。なんだと、ばかやろう。
こねずみは思いました。なんだか、心がおかしくなりそうな場所、長く居れない。こねずみは、馬やシカとお別れしてすぐに店から外に出ました。
店を出ると、正面にうらないの店があります。こねずみは興味があるので、行く事にしました。
「超占い師」
店には、占い師のひばりねこさんがいました。いらっしゃ~い。
こねずみは言いました。占ってください。
ひばりねこさんは、こねずみに言いました。大吉、今日もラッキーだにゃ。
こねずみは、言いました。いい加減な占いですね。
ひばりねこさんは応えました。裏ないしなので、前向きな言葉しか言わないにゃ。旅するお客さんへ素敵な言葉でおもてなしにゃ。
あっ。おもてがないとうらがないので、うらないしにならないにゃ。
こねずみは応えました。おやじギャグは嫌いではないけど、帰るね。
ひばりねこさんは、帰ろうとするこねずみを引き留めようと言いました。待って、私の話を聞いてくださいにゃ。
「幸せの送りバント」
ひばりねこさんは、こねずみに言いました。素敵な言葉でおもてなしをしているのは、人を幸せにする応援、お手伝いをすると幸せな気持ちが次々とわいてくるからやっているにゃ。ぜひ試してにゃ。
ひばりねこは、続けて言いました。前にあるぐちぐち酒場で、いつもグチを言って幸せになれない人達を、いつもここから眺めているんだにゃ。だから、前向きな言葉しか言わないようにしているけど、何故かわかるかにゃ?
こねずみは応えました。幸せな言葉を言えば、幸せが引き寄せられる。不平を言えば、不平を言いたくなるような事が引き寄せられてくるのですね。理由はわかりませんが。
「感謝を呼ぶまほう」
ひばりねこさんは、こねずみに続けて言いました。どんな人でも必ず当てはまる、まほうの法則が実はあるんだ。それは、人前で発したあなたの言葉のとおりに、あなた自身の未来を作っているということ。
人を悪く言った後で、その人が不幸になった話を聞いた時に、何故か?心のもやもやが晴れたような経験はありませんか?それがすべての証拠だよ。
「言葉の力」
ひばりねこさんは、こねずみに言いました。どんな人も常に正しい存在でありたいんだにゃ。だから、人前で自分が言った言葉は、常に正しくなって欲しいと心の中で願ってしまうのですにゃ。
例えば、人の悪口を言ったのに、もしその人が良い人だと周りから言われると、自分の言ったことが正しくなくなるため、周りの人も悪く言って欲しいと願う様になるにゃ。だから、その人の悪いうわさが広まると自分の言ったことが正しいと証明されたので、心でスカッとした気持ちになるにゃ。
同じ様に、私はダメな人と自分を否定する言葉を人に言ってしまうと、その事が正しくなってもらわないと困るという深層心理が働いて、自分の言ったとおりに自分がダメになって欲しいと自分の心で常に思ってしまうのだにゃ。
逆に人を良く言うと、その人が良い人であって欲しいと心が願ってしまうので、その人が幸せになれば、なるほど、自分が言ったことが正しいと証明されるので、心が喜ぶ仕組みになっているんだにゃ。
だから、こねずみさん。幸せになりたければ、素敵な言葉を発するのだにゃ。
「言葉の力を知り旅立つ」
こねずみは、ひばりねこさんに言いました。ありがとう。素敵な言葉で人を幸せにするよ。
ひばりねこさんは応えました。こねずみさん。元気でね。今日も大吉だよ。
こうして、こねずみは言葉の力を身につけ、次の世界へと旅立ちました。