【こねずみ物語 第七話 経験の力】
「薔薇を愛したきつね」
こねずみは見知らぬ土地へたどり着きました。そこは大きなお庭のある場所。
こねずみは思いました。ここはどこだろう?お庭には、赤や黄色、白、青、黒、ピンク、そして緑の薔薇がたくさん咲いています。
こねずみさん、こんにちは。声をかけてきたのは、たえきつねさん。
こねずみは、たえきつねさんに言いました。素敵な庭ですね。
たえきつねさんは応えました。薔薇が私の人生。この薔薇に囲まれていれば、一生しあわせなのです。ただ、ひとつだけ探している薔薇があるんだ。もし、金色の薔薇を見つけたら教えてくださいね。
こねずみは応えました。見つけたら連絡しま~す。また、会いましょう。
「彼女とダンスパーティー」
こねずみは、あるダンスパーティーの会場にたどり着きました。
あそこにいる彼女と踊ってもらおう。そう思い、彼女に話しかけました。
彼女はこねずみに言いました。こねずみさん、一緒に踊りましょう。らりらりら~。
こねずみは思いました。素敵なダンスパーティー。素敵な会場、音楽、食事。夢のような時間はあっという間に過ぎていきます。
こねずみは、ふと時計を見ました。あっ、夜中の0時。帰らないと。
さようなら、楽しかったよ。また、会いましょう。こねずみは彼女にそう言って、会場から立ち去りました。
「森の音楽会」
こねずみは深い森にたどり着きました。そこでは、ちょうど森の音楽会が開催されるところでした。
腹太鼓のたぬき、ぞうのドラマー、犬のオーボエ、きつねのトランペット、うさぎのサックス、ギターのきゃしねず、ボーカルのゆりねず、みんなで楽しい演奏をしてくれました。
こねずみは思いました。たのしかったよ。ありがとう。また、来るからね。みんな、また会いましょう、こねずみは、みんなにそう言って、会場から立ち去りました。
「天空の料理教室」
こねずみは道に迷っているうちに、雲の上に来てしまったようです。しばらく歩くと、遠くに料理教室の案内が見えます。行ってみよう。
教室の先生は、げんねずさん。
げんねずさんは、こねずみに話しかけました。こんにちは。今日はカレーライスと流しそうめん作りますよ。
包丁をとんとん、にんじん、たまねぎ、お肉、りんご、カレールー、一緒に煮込んだら、ハイ出来上がり。
こねずみは、げんねずさんに言いました。おいし~い。あれ?そういえば、流しそうめんは?
げんねずは応えました。これから虹の橋にそうめんを流すので、地上に落ちてくるそうめんを食べてね。
こねずみは応えました。びっくり。美味しかったよ。げんねずさん、また会いましょう。こねずみは、そう言って、料理教室から立ち去りました。
「展覧会の絵」
こねずみは、はぴねす美術館にたどり着き、嬉しさのあまり心の中で叫びました。
やった~。前から行きたかった、はぴねす美術館に着いた。今日は何の展覧会かな?なんと、りこねずの写真展。そして主催者である、りこねずさんもいました。
こねずみは、りこねずさんに話しかけました。素敵なお花の写真がいっぱい。一枚ください。
りこねずさんは応えました。みなさんに幸せな気持ちを届けたいので写真を撮ってます。ぜひ、もらってください。こねずみさん、ありがとう。
りこねずさんありがとう、また会いましょう。こねずみは、そう言って、展覧会を立ち去りました。
「夜明けの詩」
こねずみは、海へ来ました。海岸で耳を澄ますと、遠くから素敵な歌が聞こえてきます。
こねずみは、歌っている人達のそばに行きました。
そこでは、くじらさん、しゃちさん、ひとでさん、かにさん、えびさん、ざりがにさん、おっとせいさん、かぴぱらさん、くらげさん、かめさん、えいさん、さんまさん、いかさん、たこさん、みんなが地球のうたを合唱しています。そして、オーロラのカーテン、月のひかりがスポットライトのように辺りを照らして、そこはまさに大自然の劇場。
こねずみは、思わず涙してしまいました。生きていて嬉しいな。みんなと出逢えて嬉しいな。こねずみは、そう言って、海岸を立ち去りました。
「ホワイトクリスマス」
こねずみが果てしない旅を続け、ある街にたどり着くと雪が降ってきました。寒いなあ。そう思っていると、遠くから誰かが、こねずみに声をかけてきました。
声をかけたのは、サンタの姿をした、ひとみねず、れきねず、まおねずの三人。ハッピーホワイトクリスマス。
こねずみは応えました。ありがとう。そう言いながら、引き続き歩き出すと、通り過ぎる家の窓からは、美味しいケーキやクリームシチューを食べている家族の姿が見えました。
こねずみは、家族が恋しくなってきました。家に帰ろう。こうして、こねずみは故郷の街へ帰ることにしました。