仏の世界(知識)

縁起とは?因果関係のこと!

お釈迦様は、すべてのものが、この世に存在をするためには、その状態を保っている要素があると教えています。

そして、人間の存在を構成し、保っている要素を分析する事で、苦から脱却するための覚りに至っています。

その分析内容を、教えにしたものを縁起と言います。

果たして、どんな内容だったのか?

さっそく、調べてみました。

みなさまのお役に立てると嬉しいです。

目次

縁起(えんぎ)とは?因果関係のこと!

縁起のよい物とか、縁起の悪い日など、縁起という言葉をよく使いますが、もともとは仏教の言葉なんです。

縁起とは、どんな意味なのか?興味があったので、さっそく調べてみました!

縁起とは?因果関係のこと!

お釈迦様が教えを説くことから始まった仏教ですが、その教えを説く(物事の道理などを解説する)ことを説法(せっぽう)と呼びます。

法(ほう)とは、サンスクリット語で「ダルマ」といい、「保つ」という意味になります。

つまり、お釈迦様は、この世の中に存在している、すべての物事には、その状態を保っている要素があると考えました。

それを解説することが、説法です。

そして、人間とは何か?という、人間という存在を保っている要素(法)をお釈迦様は深く考えていくなかで、人という存在の在り方や、苦がおきる仕組みに思い至り、苦のない覚りの境地に達しました。

その存在の在り方や仕組みを理解する元となるものを縁起と呼びます。

縁起とは、因果関係のことで、すべての存在は、原因(因)と条件(縁)によって、成立【結果(果)】するという考え方です。

同様に、因縁(いんねん)とも類義します。

例えば、四諦(四聖諦)は、この因果関係で、説明できる代表のものです。

<参考:四諦>

1.集諦が(原)因で、苦諦が(結)果

①集諦(因):心の乱れを引き起こす煩悩が苦の原因

②苦諦(果):人生は苦、思い通りにはならない

2.道諦が(原)因で、滅諦が(結)果

①道諦(因):涅槃(覚り)に至るためには修行が必要

②滅諦(果):煩悩が消え、苦を滅した状態が涅槃の境地

別の例え(お花を植える場合)で言い換えると、

①花の種をまく(原因)

②水や土の栄養(肥料)や太陽の光が十分に補給された(縁)

➂花が咲く(結果)

この場合、因と縁が変われば、結果も変わります。

もし、まいた種が違う花の物であれば、違う花が咲き、水や肥料や太陽の光が十分でなければ、育ち方が違います。

場合によっては、枯れてしまうこともあります。

お釈迦様は、人間の苦がこの様な因果関係から生じていると考え、その原因がなくなれば、結果である苦から抜け出せるとし、その苦ができる(原因)の成り立ちを12段階に分けて教えました。

それを、12支縁起(じゅうにしえんぎ)と呼びます。

12支縁起とは?苦が起きる因果関係を説明!

お釈迦様はお弟子さん達へ、この様な教えをしています。

縁起とは、何であろうか?

無明によって、行がある。

行 によって、識がある。

識 によって、名色がある。

名色によって、六処がある。

六処によって、触がある。

触 によって、受がある。

受 によって、愛がある。

愛 によって、取がある。

取 によって、有がある。

有 によって、生がある。

生によって、老師・愁・悲・苦・憂・悩が生じる。

かかるものが、すべて苦の集積によって起こるところである。

これを、縁によって起こると言うのであると教えました。

このうち、無明・行・識・名色・六処・触・受・愛・取・有・生・労死を12支縁起と呼びます。

これらは、それぞれが原因・結果となり、人に苦をもたらせている(生じさせている)ということです。

それぞれの意味を更に調べてみました。

無明(むみょう)

1.存在の在り方や本当の姿がわかっていない状態

2.無知・明るくないこと、迷妄(妄念)の中にいること

すべての苦は、真実を知らない迷いから発する、煩悩が原因です。

迷いという暗闇を、智慧(正しく物事を認識し判断する力)という、光で照らすことにより、苦は消滅します。

なお、お釈迦様は、この苦しみの元である無明を滅する方法を八正道で教えています。

無明とは、自分の心を野放しにしている状態。

いわゆる無管理のため、誤った考えに支配され、あらゆる事が起こりうる状態のこと。

行(ぎょう)

1.潜在的な意志(無明が生む欲望のままの心)の形成

2.心の働きがある方向に影響を与えること(動機)

3.行為、行動。物事がそのように為る力(業)

私が何か物事を認識し、それに対して何かしらの行動をした経験の積み重ねが習慣となり、その影響による考え方に行動が依存します。

例えば、私がトマトのなっている状態を見て、収穫したり、料理をしてみようと思うことは、トマトの扱いに対する経験により、自然と意識が向かった結果の行動になります。

つまり、今までに、自分が何を行い、何を話し、何を思ってきたか?という、身口意の三業により、何かに対する動機が変わってきます。

行とは、野放しにした(欲望のままの)心の状態や誤った考え方(煩悩)により、生じる様々な動機のこと。

言い換えると、行動を起こさせる欲求のこと。

イメージは、食欲・名誉欲等

識(しき)

1.対象を識別する作用

2.好き嫌い、選別、差別につながること

行(欲求)は、識の行動に影響を与えます。

例えば、食欲があると、食べ物に意識が集中します。

何か食べ物はないか?、美味しいものが食べたい!好き嫌いで食べ物を選択するなど、食べ物に注意を奪われます。

識とは、何に注目(意識)するのか?

注意力と、その後の選別する働きのこと。

それは、行(欲求)により意識する対象が影響を受け、変わってくることになります。

言い換えると、目的意識とも言えます。

名色(みょうしき)

1.識別によってできあがる精神と肉体

2.対象の名前とその形(それが現れている形)

名色とは、名前と対象(概念)のことです。

例えば、食べたい欲求(行)により、食べ物を意識した(識)時に、あれが食べたいという、具体的な食べ物の名前とイメージ(形)が現れてきます。

つまり、行によって欲求が生じ、識により目的意識が生じ、その目的を満たすものは何か?

それが、名色になります。

言い換えると、その何かを思い浮かべた時に生じる、名前やイメージのことを言います。

六処(ろくしょ)

1.精神や肉体ができる際に生じる感覚器官(目・耳・鼻・舌・身・意の6つの感覚機能)

2.外界を受け取る6つの感覚の場所

六処とは、名色で、こころに思い浮かべたものに対して、働きが生じる感覚器官のことを意味します。

例えば、食べ物であれば

目:食べ物を見つける

耳:売っている人の声を聞く

鼻:においを嗅ぐ

舌:味わいを思い出す

身:食感を楽しみにする(触覚)

意:どうしたら手に入るか考える

言い換えると、

名色により定まったものに対して、どの感覚器官を使うのかという認識のこと。

まだ、この時点では、対象のものを思い浮かべ、どの感覚器官で探すかを意識する段階を意味します。

触(そく)

1.感覚機能(六処)が、それぞれ外界の感受対象と接触し、認識をすること。

触とは、六処で認識した感覚器官で実際の対象と接触すること。

言い換えると、

実際の対象と接触することで、具体的な味覚などが認識できます。

受(じゅ)

1.触による感受作用

受とは、触により接した時の感覚のこと。

例えば、苦や楽、快不快、美味不味い等

愛(あい)

1.受によって起きる愛着や欲望

2.渇愛(満たされていない、ほしいという生命の根元的な欲望)

愛とは、受を再び得たいと思う強い欲求のこと。

言い換えると、のどが渇いたものが、水を激しく求める様に、一度得た受を(肯定的・否定的なものがあるが)、再び得たいと思う欲求のこと。

満たされたいという、強い思いが欲求となること。

どの様な受であるかによって、愛も変わって来ます。

取(しゅ)

1.愛着したものや欲望の対象に対する執着

取とは、愛により生じた肯定的・否定的な強い欲求を取捨選択する態度(感情)のこと。

言い換えると、強い欲求(愛)により生じる、好き嫌いという感情から発する、所有意識(排除意識)のこと。

例えば、食べ物で言えば、もう一度食べたいもの(好きな食べ物)を手に入れたいと思うこと等

有(う)

1.執着によって起こる生存

2.存在・実在・生存

有とは、取によって発した所有意識(排除意識)により、こころの中に深く残る印象のこと。

言い換えると、所有意識(排除意識)をもつことで、対象の物事は、こころに強く存在してしまうこと。

強い存在感が生じてしまうこと!と言えます。

例えば、食べ物で言うと、本当に食べたいと思うものが、こころから離れないで残ること。

生(しょう)

1.六道輪廻のいずれかに新たに生まれること

2.生まれ、生きること

生とは、有によって新たに生まれた(存在した)経験のこと。

言い換えると、強い存在により、生じた思いに自分のこころが閉じ込められる(縛られる)こと。

例えば、食べ物で言うと、強く渇愛し、所有意識を持ち、その存在を強く意識したときに、その食べ物の存在に、どうしてもそうなんだ(そうしたい)という思い。

何と言おうと、こういう存在として消えない自分自身の思いが閉じ込められていると感じる。

それが生になります。

つまり、有として、どの様な存在を強く意識するかで、生も変わってくることになります。

老死(ろうし)

1.生まれた瞬間に始まる老死の苦

2.老いと死

老死とは、生によって生じた強い思いの囚われも、やがて衰退していく自覚のこと。

言い換えると、強い存在感をもっている対象も、やがては衰退し、存在しなくなる苦しみを自覚すること。

いつかは、無くなると思う、心配執着も同じです。

つまり、縁起とは、無明という状態で何かしらの原因が発生し、途中の条件(縁)【行~生】によって、老死という結果が生じる過程を述べています。

縁起とは?~まとめ~

以上のことをまとめてみました。

1.縁起とは、因果関係のこと。

2.因果関係とは、すべての存在は、原因(因)と結果により成り立っていること。

3.人間の苦は因果関係から生じている。

4.その苦ができる(原因)の成り立ちを12段階に分けたのが12支縁起。

5.12支縁起は、無明・行・識・名色・六処・触・受・愛・取・有・生・労死のこと。

6.縁起とは、無明という状態で何かしらの原因が発生し、途中の条件(縁)【行~生】によって、老死という結果が生じる過程を述べています。

お釈迦様は、

思い通りにならないことを人生の苦と教えていますが、苦の成り立ちは複雑ではなく、それこそ12分割した単純なことの組み合わせで成り立っている。

それを一度に考えてしまう事で、それぞれの因果関係が複雑に絡み合って見えてしまうだけだということです。

ちなみに、因果関係とは、一方通行の関係です。

無明から老死にいたるまで、すべての流れがあって苦の原因となります。

したがって、縁起による苦しみから逃れるためには無明を解決するしかないという結論にいたります。

縁起が良いとは?幸せに結びつくこと。

すこし、話が変わりますが、縁起とは、因果関係のことです。

一般的に、縁起が良い悪いと言われる内容は、次の意味から生じています。

1.良い事や悪い事の前触れ

①何か良い事があると思った時に、前段で何か良いイメージがあること。

②良い結果がある前提では、良い原因があること)

➂善因善果、悪因悪果

2.物事の起源やその由来が、良かったり悪かったりすること。

例えば、商売繁盛をもたらせるという由来のものを手に入れると、これは縁起が良いものを手に入れたことになります。

 これを書いていたら、何か縁起の良い物を部屋に飾りたくなりました。

最後まで、お読みいただきありがとうございました。

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