仏の世界(宗派)

天台宗とは?真言宗との違いや千日回峰行とは?

源頼朝(みなもとのよりとも)が幕府を作って活躍した鎌倉時代。

実は、武家社会だけでなく、仏教も盛んになりました。

これを鎌倉仏教と呼びます。

この基礎をきづいたお坊さんが最澄(さいちょう)です。

最澄がつくった天台宗の考え方や同じ時代に生きた空海のつくった真言宗との違い。

そして、天台宗で実施される世界三大荒行のひとつ、千日回峰行についても調べました。

それでは、どうぞ!

目次

天台宗(てんだいしゅう)とは?

 天台宗という名前を聞くと、学校の歴史の授業を思い出します。

暗記したキーワードは3つです。

1.最澄(さいちょう)
2.天台宗
3.比叡山延暦寺(ひえいざんえんりゃくじ)

とても有名なお坊さんの最澄が始めた仏教の宗派が天台宗です。

そして、教えの拠点にしたのが比叡山延暦寺でした。

ところで、この天台宗、めちゃくちゃ仏教の歴史に影響を与えているんです。

時は鎌倉時代。

最澄が起こした仏教の新しい考え方は、浄土宗の法然(ほうねん)、浄土真宗の親鸞(しんらん)、臨済宗の栄西(えいさい)、曹洞宗の道元(どうげん)、日蓮宗の日蓮(にちれん)という主な鎌倉仏教の宗派を作った開祖(かいそ)に影響を与えました。

天台宗の起源は?

中国を隋(ずい)という国が治めていた時代に、智顗(ちぎ)というお坊さんがいました。

 智顗は、お釈迦様の教えを5つの時代に分類し、教えを体系化しました。

これを、五時八教(ごじはっきょう)と言います。

この第五時が、法華・涅槃時(ほけねはんじ)で、お釈迦様が生れたのは、本当は法華経(ほけきょう)を伝えるためであるという考え方です。

そこで、法華経を中心にした中国の天台宗ができました。

日本の天台宗の成り立ちと最澄について

時は変わって、中国は唐の時代。

この時に、最澄は唐へ行き、天台教学(てんだいきょうがく)という天台宗の学問や真言密教・禅、戒律を学びました。

そして、日本へ帰国し、この4つの教えを融合(ゆうごう)した宗派、天台宗を始めます。

この教えを融合することを、四宗融合(ししゅうゆうごう)と呼びます。

四宗とは以下のとおりです。

1.法華円教(ほっけえんきょう)

 法華経の教えで、天台宗の学問のことです。

 特に法華円教の一乗説(いちじょうせつ)が有名です。

一乗説とは、すべての人は成仏できるという考え方です。

それと比較し、成仏できるのは、声聞(しょうもん)・縁覚(えんがく)・菩薩(ぼさつ)のうち、菩薩だけという三乗説(さんじょうせつ)の教え(奈良仏教)と対立しました。

2.大乗菩薩戒(だいじょうぼさつかい)

 戒律のことです。

ここでは、大乗戒でも出家できる大乗戒壇(だいじょうかいだん)を示したのに対し、具足戒(ぐそくかい)が唯一の出家の道とする教え(奈良仏教)と対立しました。

 3.真言密教(しんごんみっきょう)

最澄は、密教の修行が足りないと感じ、空海に弟子入りし学んだ。

そして、後の弟子である円仁(えんにん)と円珍(えんちん)によって、密航の教えは引き継がれます。

しかし、二人の名僧が現れたために、派閥ができ、円珍の弟子たちは、比叡山から園城寺(おんじょうじ)、別名三井寺(みいでら)へ拠点を移し教えを伝えていきました。

この事から天台宗は、山門派(円仁派)と寺門派(円珍派)に系統がわかれて活動することになりました。

4.達磨禅法(だるまぜんぽう)

 禅の実践です。

どちらにしても、奈良仏教の論宗(ろんしゅう)と言われる宗派は学問が中心の教えであったのに対して、最澄は法華経を中心とした教宗の立場から、一般の民衆に向けて教えを伝えました。

天台宗と真言宗との違いは?

 天台宗と真言宗の違いは、大きく3つあります。

1.密教に対する考え方

密教とは、大日如来(だいにちにょらい)による真実の言葉(すべての真理そのもの)のことです。(ただし、わかりにくい)

それに対して、顕教(けんぎょう)という考え方があります。

これは、お釈迦様(民衆を助けるために大日如来が姿を変えた者)がお話をされたものです。(分かり易いが表面的)

この密教と顕教に対する考え方が違います。

<違い>

 天台宗は、顕教と密教は同じ位置づけ。

 真言宗は、顕教は密教に至る途中の段階。(密教が優れている)

 2.奈良仏教(南都六宗)との関係

<違い>

 天台宗は、対立。

 真言宗は、融和的。

 天台宗は、先ほどお伝えした三乗説を唱える奈良仏教の法相宗(ほっそうしゅう)の徳一(とくいつ)との論争など対立をしていました。

 天台宗の密教を台密(たいみつ)、空海が伝えた真言密教を東密(とうみつ)と呼びます。

3.教え・教義(きょうぎ)

<違い>

 天台宗は、法華経を最も重視。

 真言宗は、即身成仏の行を最重要視。

<H4>本尊は?

何度も生まれ変わり、法華経を教えてくれる永遠の仏様として、釈迦牟尼仏(しゃかむにぶつ)や釈迦牟尼仏のいろいろな働きを表現した、薬師如来(やくしにょらい)・観音菩薩(かんのんぼさつ)等を等しく本尊として祀ります。

千日回峰行(せんにちかいほうぎょう)とは?

 千日回峰行とは、滋賀と京都の境にある比叡山内で行われる、天台宗の回峰行の1つ。

満行者は「北嶺大行満大阿闍梨」と呼ばれる。

「千日」と言われているが、実際に歩くのは「975日」で、残りの「25日」は「一生をかけて修行しなさい」という意味である。

7年間にわたって行う。1〜3年目は年に100日、4〜5年目は年に200日。

無動寺で勤行のあと、深夜2時に出発。真言を唱えながら東塔、西塔、横川、日吉大社と260箇所で礼拝しながら、約30 km を平均6時間で巡拝する。

途中で行を続けられなくなったときは自害する。そのための「死出紐」と、短剣、埋葬料10万円を常時携行する。

蓮華の蕾をかたどった笠をかぶり、白装束、草鞋履きで行う。

5年700日を満行すると、最も過酷とされる「堂入り」が行われる。

入堂前には行者は生き葬式を行い、無動寺明王堂で足かけ9日間(丸7日半ほど)にわたる断食・断水・断眠・断臥の4無行に入る。堂入り中は明王堂には五色の幔幕が張られ、行者は不動明王の真言を唱え続ける。毎晩、深夜2時には堂を出て、近くの閼伽井で閼伽水を汲み、堂内の不動明王にこれを供えなければならない。水を汲みに出る以外は、堂中で10万回真言を唱え続ける。

堂入りを満了(堂さがり)すると、行者は生身の不動明王ともいわれる阿闍梨となり、信者達の合掌で迎えられる。

これを機に行者は自分のための自利行から、衆生救済の化他行に入る。

6年目にはこれまでの行程に京都の赤山禅院への往復が加わり、1日約60 km の行程を100日続ける。

7年目には200日行い、はじめの100日は全行程84 km におよぶ京都大回りで、後半100日は比叡山中30km の行程に戻る。

世界三大荒行のひとつで、他には、「日蓮宗大荒行」と「インドのヨーガ」があります。

天台宗とは?~まとめ~

 天台宗とは何か、まとめてみました。

 1.最澄が始めた仏教の宗派が天台宗。

 2.教えの拠点にしたのが比叡山延暦寺。

 3.天台宗は、法華経を中心にした教え。

 4.最澄は、法華経や真言密教・禅、戒律の教えを融合。この教えを四宗融合と呼ぶ。

 5.天台宗と真言宗との違いは、密教と顕教に対する考え方の違い。

 6.千日回峰行は過酷な荒行。(世界三大荒行のひとつ)

いかがでしたか?

荒行の中には、断食もあるそうです。

これは、無理!

あれも食べたい、これも食べたい。

 食べない世界はありえません(笑)。

最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

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