平安時代の後期から鎌倉時代にかけて、庶民が一番行きたい、人気NO1の場所がありました。
どこか知っていますか?
それは、極楽浄土(ごくらくじょうど)です。
え?それって、あの世のこと?
そうです。みんな辛い世の中を耐え忍び、死んだら極楽へ行く事を望んだのです。
そんな時代の中で、法然(ほうねん)は浄土宗という宗派を作りました。
浄土宗とは何か?浄土真宗との違いやお経の意味を調べましたので、最後まで読んでいただけると嬉しいです。
それでは、どうぞ!
目次
浄土宗の教えとは?
それは、平安時代の中期から末期にかけての事でした。
天然痘(てんねんとう)という病気が京都で大流行。
富士山や浅間山が噴火。
度重なる戦の日々。
もういや!この世は終わりだ~。
と思う人が、どんどん増えていきました。
そして、ある噂が日本中に広がっていきました。
それが、末法思想(まっぽうしそう)。
その末法思想がやがて、浄土宗の教えにつながります。
最初に、末法思想とは何かをお伝えします。
末法思想とは?浄土宗の教えにつながるまで!
末法思想とは、お釈迦様が亡くなって、二千年後に訪れる時代についての予言(よげん)の事です。
予言とは、お釈迦様が亡くなり、正法(しょうほう)の時代が千年続きます。
次に、像法(ぞうほう)の時代が千年続き、最後に末法(まっぽう)の時代になるという教えです。
それぞれの意味は次のとおりです。
1.正法の時代
正しい教えと修行者がいて、悟り(さとり)を得る人が現れる時代。
2.像法の時代
教えと修行者はいるが、悟りを得る人はいなくなる時代。
3.末法の時代
教えだけが残り、修行者も悟る者もいなくなる時代。
この時代が1万年続くと言われていました。
そして、末法が始まる年が1,052年とされています。
この時代に、生きていたとするとやばいですね。
ちょうど、1,999年に人類がやばくなるという思想が当時流行りました。
たしか、ノストラダムスの大予言!
私も半信半疑、でもちょっと信じてしまう様な雰囲気が世の中全体にあった気がします。
それと同じように、当時の人達も世の中を不安に感じていたんだろうなあと想像できます。
そして、この末法思想の影響で急速に広がった教えが、浄土信仰(じょうどしんこう)です。
浄土信仰とは、死んだら阿弥陀如来(あみだにょらい)のいる、極楽浄土(ごくらくじょうど)へ行けるように願う信仰です。
この浄土信仰をわかりやすい教えにしたのが、浄土宗(じょうどしゅう)を始めた法然(ほうねん)というお坊さんです。
浄土宗の教えとは?
法然は、考えました。
阿弥陀如来は、多くの人を救いたいはず。
厳しい修行や多くのお布施をした人だけしか救わないのは何故だろうか?
当時は、本来大乗仏教が広まっていたはずが、小乗仏教的な考え方が主流となっていました。
そこで、法然は中国で浄土教を広めた道綽(どうしゃく)というお坊さんの教えを元に仏教の修行を分類しました。
仏教の修行は、大きく2分類に分けられます。
1.聖道門(しょうどうもん)
難しい学問や難行(修行)を行うこと。
2.浄土門(じょうどもん)
易行(いぎょう)を行うこと。
つまり、難行苦行をする修行方法と優しい行をする修行方法があるということです。
法然は、この浄土門の修行を選びました。
浄土門の修行の中に、称名正業(しょうみょうしょうぎょう)があります。
称名正業とは、念仏(ねんぶつ)を唱えることです。
この念仏を唱えることを、浄土宗では専修念仏(せんじゅねんぶつ)と呼びます。
法然は厳しい修行もせず、ただ念仏さえ唱えれば、みんな極楽へいけると教えました。
念仏とは、有名な南無阿弥陀仏(なむあみだぶつ)のことです。
簡単に言うと、私は阿弥陀如来の教えに従いますという意味になります。
たしかに、これなら私にもできます。
極楽いきたい(笑)
当時の人もきっとそう思ったに違いありませんね。
法然の教えの特徴とは?
法然が教えを広めるまでは、難しい勉強や修行ができないと悟りを得ることはできないと考えられていました。
法然自体は、勉強がよくできたので、当時の社会では一目(いちもく)おかれていました。
要は尊敬されていた人物でした。
しかし、法然は、どんなに努力しても人々を救う道が見つからなかったのです。
そんなある日のこと。
観無量寿経疏(かんむりょうじゅきょうしょ)という書物に出逢います。
簡単に言うと、人間の力では限界がある。
仏様の慈悲によって救われることを信じるしかない。
だから、ひたすらに阿弥陀如来を信じて、念仏を唱えることを教え続けました。
また、念仏を唱える時の心構えも教えています。
これを三信四修(さんしんししゅう)と呼びます。
三信とは、真心をこめて、信じて疑わず、他の人も救われる様に願うことです。
四修とは、念仏を尊敬の心で行い、死ぬまで続け、念仏以外せず、休まず煩悩を持たずに行うことです。
本当に念仏、オンリーの教えだったんですね。
とにかく、ひたすら念仏の世界!
それが、法然の教えの特徴です。
浄土宗と浄土真宗(じょうどしんしゅう)の違いとは?
浄土真宗とは、法然の弟子である親鸞(しんらん)が広めた宗派の事です。
親鸞の教えは、法然の教えを受け継ぎ、発展させたものです。
簡単に比較してみました。
●絶対他力(ぜったいたりき)
法然の専修念仏とは、阿弥陀如来を信じて、ひたすら念仏を唱え、死んだ後は極楽へ行けることです。
これを発展させたのが絶対他力という考え方です。
信じる心は、既に阿弥陀如来の力を貰えた証拠なので、阿弥陀如来を信じるだけで、死ぬのを待たずに極楽行きが決定となることです。
●在家主義(ざいけしゅぎ)
法然が妻帯して念仏が唱えられるなら妻帯してもOKという教えを実践する在家主義を教えました。
●悪人正機説(あくにんしょうきせつ)
法然が悪人を救う事が阿弥陀如来の願いであると言った、悪人正機説を強調して伝えました。
親鸞は、法然を尊敬し、本当に教えを引き継ぎ、一歩進めた教えを広めたのです。
浄土宗のお経の意味とは?
浄土宗のお経は、浄土三部経(じょうどさんぶきょう)と呼ばれる3つのお経が主軸です。
1.無量寿経(むりょうじゅきょう)
このお経は、阿弥陀如来の人を救いたいと言う思いや極楽浄土の世界の様子、そして念仏による極楽浄土への行き方(実践法)が書かれています。
2.観無量寿経(かんむりょうじゅきょう)
王舎城(おうしゃじょう)の悲劇の物語を例えにして、お釈迦様が念仏の大切さを教えている様子が書かれています。
王舎城の悲劇とは?これは、王様が自分のわがままで子供を殺そうとして、逆に牢屋に入れられてしまうと言うお話です。
3.阿弥陀経(あみだきょう)
極楽浄土とそこに行きつくまでの念仏の様子や念仏により極楽浄土に行ける事は間違いがないと言っています。
浄土宗の本尊とは?
浄土宗は、阿弥陀如来に従う信仰なので、本尊は阿弥陀如来になります。
また、阿弥陀如来の右側に観音菩薩(かんのんぼさつ)、左側に勢至菩薩(せいしぼさつ)を祀(まつ)ります。
浄土宗とは?~まとめ~
浄土宗とは何か、まとめてみました。
1.末法思想の影響で急速に広がった教えが浄土信仰。
2.浄土信仰とは、死んだら阿弥陀如来のいる、極楽浄土へ行けるように願う信仰。
3.この浄土信仰をわかりやすい教えにしたのが、浄土宗を始めた法然。
4.法然は厳しい修行もせず、ただ念仏さえ唱えれば、みんな極楽へいけると教えた。
5.このひたすら念仏を唱えることを、専修念仏と呼ぶ。
6.念仏とは、南無阿弥陀仏(私は阿弥陀如来の教えに従います)のこと。
7.浄土宗のお経の主軸は3つ(浄土三部経)
無量寿経・観無量寿経・阿弥陀経
8.本尊は、阿弥陀如来。
いかがでしたか?
法然は、誰でも極楽へ行けるための橋をかけてくれました。
極楽へ行くための、キーワードは、南無阿弥陀仏!
ぜひ、憶えておきましょう。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。